近年、エステティシャンの活躍の場も広がってきており、従来のエステティックサロン以外でも様々な場所でエステティックサービスが提供され、社会に役立っています。その中でも近年注目が集まってきている場所で、「どのようにエステティックが提供されているか」のお話を聞いてきました。
瀬戸 真由美さん
ソシオエステティシャン
・学校法人 北杜学園 仙台医療福祉専門学校 福祉科2年課程卒業
・学校法人 関城学院 東北ヘアーモード学院 理容科卒業
・エステティックサロン&スクール 自営
・学校法人 三幸学園 仙台ビューティーアート専門学校 教員
・学校法人 三幸学園 未来きずな高等学校 講師
・学校法人 三幸学園 支援学校 仙台みらい高等学園 講師
・石巻赤十字病院
・国立病院機構 仙台医療センター
・地方独立行政法人 宮城県立病院機構 宮城県立がんセンター
・独立行政法人 労働者健康安全機構 東北労災病院
・宮城県登米市立 登米市民病院
・東京女子医科大学病院

ソシオエステティシャンとしての仕事の内容
私は24年前より、エステティシャンが病院でチーム医療の一員として関わることを目標に活動してきました。
11年前には公的病院の職員として採用され、患者介入、家族支援に加え医療専門職向け研修、看護学生への講義、患者プログラムの企画・運営などを担当してきました。これまでに公的病院6施設で活動し、現在はフリーランスとして医療機関における「アピアランスケア(外見)外来」を担当しています。
主な役割は、病気や治療によって「自分らしさが失われた外見」に対するケアとトレーニング、そして必要な情報提供です。対応場所は診察室に限らず、化学療法室、透析室、救急外来、ICU、病棟、分娩室、無菌室など多岐にわたります。電子カルテの閲覧・入力権限を持ち、カンファレンスや医師のラウンドに同行するなど、医療チームの一員として患者支援(支持療法サポート)に関わっています。
美容専門学校でエステティシャン養成課程(2年生)の担任教員を務めた経験から、外見に関する知識を浅く広く持ち、がん治療などによる副作用に伴う外見変化にも柔軟に対応できます。
また、理容師・介護士(実務者研修)・保育士の資格を有し、以下のような実践的ケアを提供しています。
- 爪、スキンケア
- 脱毛や再発毛への対応、ウィッグ(メンテナンス、カット、装着トレーニング゙等)
- ヘアカット、ベットサイドシャンプー、顔の毛剃り
- 眉の描き方、ポイントメイク、カバーメイク
- フェイシャルやボディトリートメント(手術部位の保湿も含む)
- 乳がん手術後の下着やパットについて
- 頭皮冷却装置取り扱い
- アロマ
- エンゼルメイク 他

保育士の資格を活かし、臨床心理士と連携し小児患者への支援にも長期間携わりました。その際の介入内容は、ハンドマッサージとネイル(ネイルシール付き)でした。
病院内でエステティシャンが職としてポジションを得ることは非常に困難であり、施設ごとに求められる対応も異なります。医療専門職の領域を侵さず、円滑に連携するために多くの学びと試行錯誤を重ねてきました。
24年前に描いた「エステティシャンがチーム医療の一員として患者や家族を支える」という目標は、現在、職業として確立され、後進の育成にも繋がっています。医療現場において、エステティシャンの持つホスピタリティーと外見ケアの専門性を活かせるこの仕事は、私にとって天職であり、今後も医療と外見ケアを繋ぐ役割を担い続けていきたいと考えています。
ソシオエステティックの活動の場が広がっていかないのは、どのような要因があると思うか
- ソシオエステティックの認知不足:エステティックの新領域であり、「何ができるのか」が知られていない。
- レベルに差がある:厚生労働省のキャリマップで国内のエステティシャンのレベルが4段階に分けられる(4が最高位)。ソシオエステティシャンはレベル3(上級レベル)、レベル4(卓越レベルで教育にも携わっている)に分けられる。
- 資格取得後も既存の求人がほとんどなく、多くの場合は個人で活動の場を開拓する必要があります。しかし、医療や福祉の現場は国家資格を持つ専門職が中心であり、民間資格であるソシオエステティシャンは職域として位置づけられにくいのが現状です。信頼を得るまでのハードルが高く、自己開拓は困難です。
- 現場での効果実感はあっても、数値化されたデーターが少なく、施設側にアプローチする際の材料が限られる。
医療の現場で医療専門職と仕事を共にする中で、ソシオエステティシャンの役割
- 外見の変化や身体感覚の違和感、喪失感といった数値化しにくい苦痛に寄り添い、患者さんが自分らしさや尊厳を保ちながら治療に向き合えるよう支持療法サポートを行う。
- ホスピタリティーの視点を持って患者さん一人ひとりに向き合い、癒し励まし「その人らしさ」を保ちながら社会生活を送れるよう支援する。
- 患者教育として、日常生活の中で患者自身が無理なくセルフケアを行えるよう、具体的な方法をトレーニングする。
- ソシオエステティック介入時の対話を通して患者さんの小さな変化や思いを汲み取り、それを医療専門職へ繋ぐことで、チーム医療の質を高める役割を果たす。
医療の現場で必要とされるエステティシャンに必要なこと
- 対人援助を学ぶこと:相手の尊厳を守りながら、必要な支援を適切な距離感で届けるために不可欠です。
- 病院内の職種と、その業務内容を知ること(領域を知ること)
- チームで関わっていることを守る。患者さんの背景を知る。自己満足の関わり合い方をしない。
- 外見に関連する情報は遡って検証すると化学的根拠を伴わないことが多い。特別な方法の推奨は根拠に基づくこと。
- 医療現場ではスタッフ間の連携が重要であり、その基盤となるのは信用と信頼を得ることである。そのためには、まず自分が患者さんに対して何ができるのかを明確にし、その関りが患者さんのQOL向上に繋がることを理解してもらう必要がある。役割と価値が共有されてはじめて、ソシオエステティシャンと医療専門職の共同が成り立つのである。

