近年、エステティシャンの活躍の場も広がってきており、従来のエステティックサロン以外でも様々な場所でエステティックサービスが提供され、社会に役立っています。その中でも近年注目が集まってきている場所で、「どのようにエステティックが提供されているか」のお話を聞いてきました。
白須あけ美さん
短大卒業後、歯科衛生士になる。2005年に日本エステティック協会認定エステティシャンを取得後、Beauty atelier Soinを開業。その後、日本エステティック協会認定講師を取得後、Soinアカデミーを開校。また、CODESU-JAPON認定ソシオエステティシャンを取得後、任意団体ソシオの会「オスピタリテ」を立ち上げる。現在では、大東福祉会にてソシオエステティシャンとして勤務しながら、介護美容研究所の講師としても活動している。

介護福祉施設内でのエステ、ソシオエステティックとはどのような仕事ですか?
ソシオエステティックとは、単に美しくなることだけを目的とするのではなく、介護福祉施設での高齢者や心身に困難を抱える方々の生活の質(QOL)の向上を目的とした、こころとからだのケアを行う仕事です。高齢化や病気、障がいなどを理由に外出が困難な方や、心身にストレスを抱える方々など生活が不自由な状況下におかれた方が社会には多くいらっしゃいます。そのような方々に対して、我々が得意とするエステティックの技術を用いて癒やしや安らぎを提供し、前向きな気持ちを引き出し、幸せで笑顔になっていただくことを目指してソシオエステティシャンになりました。
また重要な役割として、我々施術者とのコミュニケーションを通じて、利用者さんの孤独感や不安を和らげ、精神的な安定と安心をもたらすことが大切となっています。対象の方としましては
- 介護を受けている高齢者
- 病気の治療中の方(がん治療の副作用に悩む方など)
- 心に悩みや不安を抱えている方
- お身体に障がいを持つ方
- 社会復帰に不安を感じている方
- 介護をしているご家族やスタッフ
など社会に中で生きづらさを感じている多くの方が対象となります。

サービス内容は、被施術者やその方の状態、状況によって様々ですが、一般的なサービスは、フェイシャルセラピー、ハンド・フットセラピー、ネイルやメイクセラピーなどです。施術中はコミュニケーションを通じて悩みや不安の傾聴を行い、こころのケアも同時に行っていきます。時には看取り後のエンゼルケアやグリーフケアも行います。
何よりもこれらの施術を行うにあたり、スタッフやご家族様など多くの方々と連携し、受けられる方の肌の状態や体調、精神状態に合わせて安全を第一とし優しい施術を行っています。「ソシオエステティック」は、専門的な医療・福祉の知識を持ち、多職種と連携して心身の深い悩みにアプローチする、包括的なケアという側面が強い職業と言えます。
なぜソシオエステティシャンになりたいと思われたのですか?
衝撃的な理由はありません。私自らの本質的な性格でしょうか。医療の現場に10年あまり、そこから美容の仕事を始めて10年ほど経ち、長年通ってくださるお客様の高齢化、闘病、そして障がいの方々との関わり、また家族が癌になるなど。エステティックを日々行いながらもっと本質的なところにアプローチできることはないかと感じていた頃でした。ソシオエステティックという仕事があることを知り、これこそが自分が目指していた仕事であり人生の目標だと直感しました。
ソシオエステティシャンとしてのやりがいはどのようなところですか?また現場で感じられているエステティックの力とはどのようなものですか?
やりがいはひとえにソシオエステティックを受けられた方の穏やかな表情でしょうか。言葉で頂くことだけに留まらず、非言語な幸せが多くあります。穏やかな表情や、温かい手、お食事ができた、足や手が少し動いた、声が出たなど客観的に起こることすべてがやりがいと感じています。
そしてこれらの結果から私は「生きる力」を感じずにはいられません。穏やかに微笑まれる表情や、拘縮した腕を少し上げて奥様とグータッチをされているお姿、名前を呼ばれて涙を流される娘さんの姿など、これらはまさしくその方の生きている証であり力ではないでしょうか。
しかしそれはソシオエステティックがもたらした力ではなく、本来その人が持っている生きる力にソシオエステティックが少し手を差し伸べたにすぎません。そんな力と力が交差しそこにやさしさがプラスされた思いやりこそがソシオエステティックではないかと感じるのです。まだまだ発展途上であるソシオエステティックですが、多くの現場で求められ認められ始めています。またこれからもソシオエステティックを続けていくことが自分の生きる力になることは言うまでありません。
